【専務ぶらり旅】京都・旧東海道編 ~街道に残る侠の匂い~

三条大橋

あてもなく手ェ出した金券ショップの阪急乗車券──1枚400円、残り三枚。有効期限がケツに火ィついてきよったんで、決めたわ。三条大橋から旧東海道を、ぶらりと踏みしめることにした。

目次

【一】京都河原町、三条大橋へ ― 残りもんには福がある言うけどな

京都河原町。地上に出た途端、ワシの前を外国人観光客が川みたいに流れとる。肩で風切ってかき分けて、三条大橋へ向かう。

アーケードには「WE♥赤ちゃんプロジェクト」ちゅう広告が並んどる。けどやな、「えらい元気なお子さんどすなぁ」…ワシの中では皮肉が先に立ったわ。

京都 三条大橋
京都独特の皮肉が込められてんかと思てしまう

【二】池田屋騒動 ― 刃傷沙汰の残り香

橋の擬宝珠、つまり丸い飾りに刀傷がある言う話や。幕末の池田屋騒動の際に付いたモンらしい。ホンマかいな思いながら目ぇ凝らしたら、確かに傷がある。

…150年以上前、ここで血の雨が降ったんかと思うと、背筋が粛然となるわ。刀と刀が火花散らす、命のやり取り。浪士も新選組も、みな鬼気迫っとったんやろな。

池田屋跡
ホンマもんや
三条大橋からの鴨川の眺め

<池田屋騒動>
1864年(元治1)6月、池田屋騒動のあったところ。在洛の長州・土州など諸藩の討幕派が謀議中に新撰組に急襲され乱闘の結果、討幕派7人、新撰組3人が死ぬ。この事件が討幕機運を高めた。寺田屋とともに維新の史跡。当地には、新撰組をテーマにした居酒屋がある。お店の前には「池田屋騒動之址」と刻まれた石碑がある。

引用:京都市観光協会HP 池田屋跡

【三】三条から東へ ― ちょっと寄り道の色気

東海道五十三次の始点、三条大橋から東へ。黙って歩いてりゃええモンを、途中でワシの“好物”──レトロ商店街に出くわした。

気づいたら、東海道を外れてアーケードの中や。通り抜けると「行者橋」ちゅう細い橋があった。柳が揺れて、風が鳴る。今どきこんな橋、新設でけへんやろな。

エエ味出とるなぁ
なんやこの橋は?
こんなん渡っていいんかいな

また東海道に戻って歩いてたら、寺の掲示板に目を奪われたわ。

「ドライブレコーダーには 他人に知られたくない わたしの品性や性分が 記録されている」

現代の「壁に耳あり、障子に目あり」やな。背筋がピンとしたわ。

車の中やと言いたい放題やけどな

【四】蹴上(けあげ) ― 腹も心も満たされる

ちょうど昼の時分、「みふき亭」ちゅうええ風情の食堂に出くわした。ここをスルーするのは人情知らずの外道や。

「邪魔すんで」とのれんをくぐると、親子丼(660円)を迷わずオーダー。あの味や。老舗の、裏切らん味やった。

こりゃ入らん訳にはいかんな
エエ感じの店内や
親子丼(660円)。味も裏切らんかった

腹も落ち着いてきた頃、前方にインクライン。鉄路が斜面を登る不思議な景色。思ってたよりも軌間が広くてワシ的にはちょい興ざめやが、それでも歴史を感じる光景や。

すぐそばには「ねじりまんぽ」っちゅうトンネルも。ワシの地元にも似たようなトンネルが現役で生きとるで。

蹴上インクライン

<蹴上インクライン>
琵琶湖疏水の大津から伏見に至る20.2㎞の舟運ルートの途中、水路落差のある2か所に設けられた傾斜鉄道。延長581.8mで、建設当時は世界最長。
蹴上船溜に到着した舟を、荷おろしすることなく斜面下の南禅寺船溜まで、舟ごと台車に乗せて斜面を昇降させる目的で建設された傾斜鉄道であり、建設当時は世界最長であった。
蹴上発電所の電力を用いて1891年に営業運転を開始し、1948年の運転を最後に停止した。
現在では散策の場や写真撮影スポットとして多くの人々に親しまれている。

引用:京都市観光協会HP 蹴上インクライン

ねじりまんぽ

<ねじりまんぽ>
ねじりまんぽは、蹴上インクラインの下を通り、南禅寺に向かう歩行者用トンネルです。渦を巻くような形で螺旋状にれんがが積まれているのは、上部のインクラインを行き交う船を乗せた台車の重さに耐えられるようにするためだと言われています。「まんぽ」とはトンネルを意味する古い言葉で、南北の出入口には北垣国道による扁額「雄観奇想」(ゆうかんきそう)、「陽気発処」(ようきはっするところ)が掲げられています。

引用:びわ湖疏水船HP

【五】日岡峠から山科へ ― 道が語る物語

さらに東へ、日岡峠を越えると、旧刑場跡や車石の道が現れる。知らん人が見たら、ただの狭い道に家が並んどるだけ。でもワシには分かる。道が“歴史”を語っとるんや。

旧東海道。微妙に曲がりくねったその道に、当時の旅人の足音がまだ残っとるような気がした。

15000人が処刑されたんやと
旧東海道

一気に坂を下ると、山科に到着。約2時間半のぶらり旅──締めくくりは「明石亭 山科駅前店」。ひとり静かに、乾いた喉を潤す。旅の余韻が、酒に滲む。

明石亭 山科駅前店

【六】帰路 ― “初乗り”で締める至極の午後

明石亭の後は、初乗車の京阪京津線で三条へ帰還。再び阪急へ──今度はちょっと奮発して「PRiVACE(プライベース)」や。+500円で、完全予約制の特別席。

阪急電車とは思えんな
こりゃエエ作りや
阪急電車の雰囲気はちゃんと残しとる

アテンダントが乗ってきて、気分はまるで任侠映画の親分や。座席は上等、空気も静かで、まさに“乗る酒場”っちゅう雰囲気や。

「もうちょっとゆっくり走ってくれや…」思う間もなく、終点・梅田に到着。ラストは、阪急ホームの若菜そば。ワシにとって、これが“粋な幕引き”や。

極上の一杯やな

どこかの路地で、明日もまた、ワシを呼ぶ声がする。

この街道のどこかで──

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灘五郷のやっちょす

とある関西の酒どころに暮らす、50代会社員兼Webライター。

週末になると小さな自転車(ミニベロ)でふらりと走り出し、辿り着いた先の一杯を楽しむのが至福のひととき。
本ブログでは、そんな“走って飲んで”を実現している「兵庫県サイクル&ドリンク愛好会」のハードボイルド系の皆様の活動を、ゆるく綴っています。

⚠️活動されている皆様は、ごくごく普通の会社員です。

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