夜勤明けの空は、どこか物哀しい。自宅で一寝入り、その後、専務の足は迷いなく“あの場所”へ向かっていた。
そう、事務所から歩いて10分、魂の水場──角打ち「ますや商店」へ。
■開店5分前、もう勝負は始まってる
ますやの開店時間は16時。時計を見ると15時55分。ええ時間や思って扉の前に立つと──すでに3人の猛者が中で飲んどる。どないなっとんねん。

この界隈じゃ有名な“飲兵衛の駆け込み寺”。出遅れたら、入る場所あらへんで。戦いや、ここは。
■赤星で幕を開ける一献目
専務は言う。「ここに来たら、最初は赤星やろがい」
サッポロの瓶ビール、通称“赤星”。ラベルの星は、飲み手の心にも火を灯す。

その一口目、喉を抜けるキレの良さに、夜勤の疲れがふわっと溶ける。これが“角打ちの魔法”っちゅうやつや。
■あては、鉄板のポテサラ
赤星に合わせるのは、迷うまでもなく“ますやのポテサラ”。手作り感たっぷりで、マヨの塩梅も絶妙。
一口食えば、脳内に“昭和”が広がる。専務の目が細くなるのは、その優しさのせいや。

■2杯目、プラチナ発注
ビールが空になった専務、すかさず「プラチナちょうだい」とオーダー。
そう、キリンの淡麗プラチナダブル。糖質ゼロの悪魔、いや、味の使者。
「こんなん気休めやけどな」と笑いながら飲み干す専務。グラスが曇る。
■にんにくの素揚げ、味は極道級
ここで、真打ち登場。“にんにくの素揚げ”や。
黄金色の実が、ホクホクに揚がって皿の上に並ぶ。口に放り込めば、甘味と香ばしさが鼻を突き抜ける。

「うまいなぁ……」と専務がつぶやく。だがこの時点で、明日の事務所の環境は地獄に決定や。
■ハイボールで締めるのが専務流
最後は、炭酸弾けるハイボールでフィニッシュ。
氷がカランと鳴る音が、今日の物語にピリオドを打つ。
■帰還と報い
一旦、事務所に戻ってきた専務。だが、その顔を見るなり、若い衆が顔をしかめた。
「専務、くっさ…」「にんにく、兵器ですやん…」「家に入れてもらえまへんで」
だが専務は笑う。「これはな、“戦(いくさ)の匂い”っちゅうもんや」
■ますや──男の社交場
安い。うまい。常連たちも気さくで、気取らん空気がある。
この街に角打ちは数あれど、「ますや商店」は別格や。
専務の行きつけ、「ますや商店」は今日も、午後4時に扉を開ける。
酒と肴と、揚げもん、ついでにおでんの匂いが、男たちを癒やしてくれる。
兄弟たちよ、仕事終わりの一杯、どこで飲んどる?
千円もあったら、ベロベロやで。
角打ちに魂を預けてみるのも、悪くないぜ──。
■金曜日はカレーや
ちなみに、金曜日のみメニューにカレーが登場するで。これ目当てでくる猛者もいるぐらいや。
どこか懐かしい味で、病みつきになること間違いなしや。


■地図とアクセス情報
角打ち「ますや商店」は、兵庫県西宮市の下町にひっそりと佇む老舗の酒屋。
酒屋の一角を改装した立ち飲みスペースが、地元の猛者たちの社交場になっとる。
【地図】
(Googleマップ)
角打ち「ますや商店」地図(Google Map)
【アクセス】
- 阪神西宮駅東口から徒歩約10分
- JR西宮駅から徒歩20分
- 駐輪スペースなし。徒歩で行くことをオススメや。飲んだら乗れんしな。
■営業時間・定休日(2025年5月時点)
項目 | 内容 |
---|---|
営業時間 | 朝の部 10:00〜12:00頃 夜の部 16:00〜20:00頃 |
定休日 | 日曜・祝日・木曜日(不定休あり) |
座席 | 立ち飲みのみ(約12〜14名) ※14名入ったらもうパンパンや |
支払い | 現金のみ(安さは現金主義の証や) |

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