阪神電鉄・住吉駅。
その近く、闇に紛れるように存在する“某所”へ、ワシは足を運んだ。
詳細は口が裂けても言えん。場所は極秘や。ワシが消されてまう。

駅から徒歩5分。地元民しか通らんような路地を抜け、静まり返った住宅街の奥へ進む。
そこに構える一軒の家──まるで会長が隠れ住んどるかのような風格や。
中では既に7名が集まっとった。

テーブルの上には、ワインに合いそうな豪華な手料理がズラリ。
ブルケッタ、チーズ、カナッペ、カプレーゼ……どれもこれも、只者の仕業やない。
これだけで一杯やれそうなもんやが、本番はここからや。

ほどなくして現れたのが、「ビーロート・ジャパン」のセールス担当の二名。
スーツに笑顔やが、持っとるワインは真剣勝負の顔しとった。

いよいよ、試飲会が始まる。
一本目──「メナージュ・ア・トロワ ゴールド (2023)」(米国)
早速1本目。
カリフォルニアからの刺客。
白とは思えんほど重厚なボディ。酸味とタンニンが静かに喉を撫で、
まるで喧嘩上手なインテリみたいな一本や。後味も長く、余韻が美しい。


二本目──「サンセール, ドメーヌ・ド・ベルクール (2023)」(仏・ロワール)
休む間もなく2本目や。
緑がかった黄金色。見た目は穏やかやが、鼻に抜ける香りは鋭いミネラル。
洋ナシと黄桃が口の中で踊り、優しい塩気が全体を締める。
優男のフリして、芯はしっかりしとるワインや。


三本目──「オヴェハ・ネグラ レッド・ブレンド (2022)」(チリ)
3本目からは赤や。
深紅の色合い、黒果実の重いアロマ。
舌にのせれば、滑らかで甘いタンニンが心地よく広がる。
こいつは気に入った。静かに、しかし確実に心を掴んでくるタイプや。


四本目──「バルバレスコ リゼルヴ (2016)」(伊)
香りは華やか、味はスパイシー。花のブーケに包まれながらも、
その奥に秘めた甘みとタンニンがゆっくり主張してくる。
女将のような気品と芯の強さを併せ持つ。


五本目──「メナージュ・ア・トロワ ノーザン・セダクション (2020)」(米)
ブラックチェリーにブラックベリー。土っぽい含みが一層深みを生む。
ジューシーで、かつ甘い。ベタな名前やが、中身は骨太。
飲み口は甘いが、油断したら足元をすくわれるタイプや。


六本目──「シャトー・デ・ローレ (2017)」(仏・ボルドー)
鮮やかなルビー色。鼻をくすぐる黒果実と木の香り。
ストラクチャーがしっかりしとる。まっすぐで、硬派。
それでいてスパイシーな後味が、静かに余韻を残す。
フランス流の“喧嘩上等”やな。


ここで“おかわりタイム”や。
皆、気に入ったワインを何回も飲む。
ワシはやっぱり、三本目のチリワインを再度いただいた。旨い。骨のある奴や。
お土産に、神戸六甲道のドーナツショップ「BRUN」の逸品を持参していただいた。おおきに。
シンプルやけど懐かしさが心に染みる。ドーナツで泣きそうになったんは初めてや。

そこに追い討ちをかけるように、アクアパッツァが登場。
魚が静かに口の中でほぐれる。極上や。

七本目──「ロワイヤル・ヘリテージ 1780, オルリアック (2020)」(仏)
一息ついて、変わり種が登場や。
ベルサイユ宮殿御用達──つまり王の酒や。
見た目も香りも味も“格”が違う。黒果実とスパイスの重なりが複雑で奥深い。
ラベルに百合の紋章。フランス王家の証、伊達やない。


八本目──「マチェーテ (2018)」(米)
黒に近い色。鼻をくすぐるのは濡れた石、プラム、砕いた砂利。
味は直球勝負。クレープにベリー、バニラとリコリス、そして微かな炭のニュアンス。
この一本は、“沈黙の殺し屋”や。静かに近づいて、確実に心を奪っていく。こいつもかなり気に入ったわ。


試飲はここまでやが、ラストに見せられたのが“あの「オーパス・ワン」のリーフレット。
ワイン界のメルセデス・ベンツや。試飲はなかったが、眺めるだけで酔える一本。
試飲したワインとは比べもんにならん高級品やが、二人が即決で購入。さすがや。
ワシも危うく買うとこやったで。この1本でミニベロ1台買えまっせ。

ちなみに、今年買って、飲み頃は10年後や。ワインセラーでじっくり寝かせなあかん。扱いも難しいで。
その後、オーパス・ワン2本お買い上げのおかげで、試飲が進む進む。
誰もが再びおかわりモード。気がつけば3本が空に──しまいにはみんな自分で入れとったで。
これ、ほんまに“試飲会”かいな?いや、“試合”やったな、これは。

ワシも勢いに任せてお買い上げや。
- 三本目:チリ産赤ワイン「オヴェハ・ネグラ レッド・ブレンド (2022)」(4,400円)×2本
- 五本目:米国産赤ワイン「メナージュ・ア・トロワ ノーザン・セダクション (2020)」(5,940円)×1本
- 八本目:米国産赤ワイン「マチェーテ (2018)」(12,760円)×1本
計 27,500円。ええ、舞い上がったてしもたんや。ここからちょっと勉強してもろたけどな。
ちなみに──
ワインによってはケース単位でしか買えんものもある。
こういった試飲会で仲間とまとめて買うのが、賢い“ワインを愛するもんの所作”やと思うで。

普段味わえんワインと料理、そして人との縁。
美味しいもんに舌鼓を打つ、そんな夜やった。
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