ワシら「兵庫県サイクル&ドリンク愛好会」が誇る重鎮、会長――
ついに動いた。向かった先はしまなみ海道、瀬戸内の絶景ロードや。
◆ 大阪南港から、夜の船で一気に四国入り
大阪南港からオレンジフェリーで輪行出撃。
夜の海を突っ切って、四国は東予港に到着や。
今回は雑魚寝ちゃう。会長らしく、しっかり個室確保済みや。


風呂で一風呂浴びて、船内で名物の鯛めしと酒を仕入れたら、即・酒盛り開始。波の音を肴に、しっぽりやったで。

その後、船の揺れもなんのその、会長は甲板で缶ビールをかたむけ、星空を睨みつけとったらしい。
明日に備えて、早めの就寝や。
◆ 東予港→予讃線→波止浜駅 “静かなる移動”
東予港に朝6時に着岸。そこから送迎バスで壬生川(にゅうがわ)駅まで出て、JR予讃線に乗車。波止浜(はしはま)駅で下車し、サンライズ糸山を経由して、ついにしまなみ海道に足を踏み入れた。

ここからが、真の勝負や。ここで会長、一言。
「ここからはもう…戻れんで。」
戦いのゴングが鳴ったわけや。

波止浜から少し走って、ついにしまなみ海道サイクリング開始。
◆ 第一の難関:来島海峡大橋(今治→大島)
最初に立ちはだかるのは、来島海峡大橋。
1.8kmの登坂、標高78m。 これを登っていくのは、ミニベロには拷問や。
橋の途中、下を覗けば、海峡。穏やかやけど落ちたら終いや。
渡りきって大島へ突入。ここは「大島石」で有名。石と会長、どっちが硬いか勝負や。


◆ 伯方島:塩の島で休憩一服
伯方・大島大橋を渡って伯方島へ。
伯方と言ったら、「は・か・たの塩!」のCMや。会長はつぶやいた。
「塩ソフトでも食わなやっとれんわ。」
伯方の塩ソフトでクールダウンや。
◆ 大三島:登坂1.5km、地味に効く
続いて大三島橋を渡って大三島へ。
1.5kmの登り、標高4.1mとナメた高さやが、こいつが地味にキツイ。
神社の島、大三島を疾走し、観光はほどほどに次へ行く。

◆ 多々羅大橋:いよいよ県境突破
多々羅大橋を渡って、生口島(広島県)へ突入。
ここでついに愛媛→広島県へ越境。
橋の登りは1.5km/高さ48m。
「境界を越えるってのは、命を削る行為やな」と会長がぼやいたとかぼやいてないとか。ここは知らん。
◆ 生口島:レモンの香りをかぎながら疾走
生口島はレモンの島や。
が、ワシらの会長に寄り道の文字はない。
生口橋を渡って、次の島へ。
◆ 因島:はっさく大福をスルーする悲しみ
因島に渡る前、登坂0.9km/高さ35m。
有名な「はっさく屋」はあるが、立ち寄る暇はない。

「今止まったら、二度と走れん気がする。」
会長、渋い。
◆ 因島大橋:最後の難関、向島へ突入
因島大橋を渡り、向島へ。
登坂0.8km/高さ58m。
ここが本日の鬼門中の鬼門。
ミニベロが悲鳴を上げる中、会長の鉄の太ももがうなった。
◆ 渡船で、ついに本州・尾道へ ― そして、至福の一杯
向島から尾道駅前へ渡船で上陸。
瀬戸内の島々を斬ってきたこの旅路、ついに本州へ凱旋や。
港町・尾道の風が、会長の汗ばんだシャツを優しくなでたとき、
ポツリと一言。
「ほな、やるか……この瞬間のために、生きとったようなモンや。」
缶ビール1本。
それだけで、すべてが完結しとった。
橋を渡った後の太ももの震えを、キンキンに冷えたビールが一瞬で癒す。
泡の音が、まるで祝福の拍手みたいに響いとった。
「これや……この一口のために、ワシは70km走ったんや。」
苦かった坂も、渋かった登りも、
すべてがこの一口のための前座にすぎんかったんや。


◆ そして三原へ ― 酒と筋肉痛と共に夜は更ける
尾道泊は高ぇんで輪行で即座に三原へ。
でも心はすでに満たされとった。
ビールと達成感で、心のコップは溢れとる。
会長は三原のホテルのベッドに横たわりながら、缶チューハイ片手にまた呟いた。
「また一つ、伝説が増えたな……。」
◆ 翌日、ローカル線で神戸帰還
翌朝、ローカル線に揺られて会長は神戸の事務所へ凱旋。
と思いきや、走り足りんので、竜野から姫路までは自走。
竜野駅付近で、名物の井河原フーズの唐揚げ弁当も堪能するとは、さすが会長ですわ。




事務所で小径自転車を丁寧に拭きながら、静かに呟いた。
「瀬戸内の橋は全部、オレの下にある。」
◆ すべてのライドは、最高の一杯のために
しまなみ海道、全長約70km超の旅路。
だがゴールに待っていたのは、ただのビールやない。
「努力が報われる味」という、誰にもマネできん報酬やった。
やるなら本気で、飲むなら美味く。
それが――しまなみを征く者の流儀や。
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