真夏の土曜。
「電車も空いとるやろ。ほな明石までちょっといっとくか」──専務の一声で事は動き出す。
相談役と専務、両の漢はJR芦屋駅に集結。
武器のごとく輪行袋に仕込んだミニベロを担ぎ、JR須磨駅まで流れ込む。
遊びやない。これは、食うて呑んで生きるための「渡世の旅」や。
須磨の浜、仁義の風
須磨駅を出りゃ、目の前に広がるは夏の海。
水着姿で浮かれとる連中が群れを成す砂浜に、ワシらだけ無骨なチャリを抱えて降り立つ。
その場に似合わぬ二人の姿は、まるで異端。
だが、これがワシらの生き様や。


明石へ、渡世の道
組み上げたミニベロに跨がり、明石へ向け走り出す。
海峡大橋を横目にかすめ、明石駅前の魚の棚商店街を無言で通過。
行き先は江井ケ島。
だが、腹の奥でなんか粉もんが呼んどる。素通りすることは仁義に反する。

「泉屋」潜入
専務が低く笑う。

「ここまで来たら、玉子焼やろ」
狙うは明石の名門「泉屋」。人気に火がついた老舗や。
定食も中華そばも評判やが、ここは玉子焼20発で真っ向勝負。




粉もんの極み
運ばれてきた皿に並ぶ20の玉。
ふわりとした焼き肌を、熱々の出汁にくぐらせる。
口の中で一瞬にして溶け、暴力的な旨味が舌を叩く。
気付けば皿は空。潔く、後に未練を残さん。


粉もんは終わらない
江井ケ島に着いても、まだ身体が粉もんを欲してる。
専務の一声。



「ほな次はお好み焼きや」
裏路地を縫い、辿り着いたのは地元民しか知らん「のぶちゃん」。
専務のシノギの深さ、ここで知れる。




お好み焼き「のぶちゃん」
古びた暖簾、油の染み込んだ鉄板。
専務はタコ豚玉、相談役はエビ豚玉。
ソース、青のり、かつお節をまとった粉もんは、キャベツの甘みで全体を包み込み、腹にずしりと決まる。
ビールが欲しい。喉が叫ぶ。
だが、道はまだ続いとる。ここで呑むは侠気に欠ける。




最後の勝負
ゴールは「明石亭 朝霧駅前店」。
ラムー大倉海岸店で仕入れを済ませ、袋パンパンに抱え込み、店へ殴り込む。
頭の中はビール一色。ここから先は誰にも止められん。
しかし、中国産の焼き鳥の惣菜にはさすがに手が伸びんかった…


明石亭で乾杯、そして伝説へ
観光客でごった返す明石亭。だが、運良く空いた一席に滑り込む。
カン、とぶつかるグラスの音。
これが本日最大の勝利の音や。
疲れも汗も吹き飛び、ただ至福の泡が喉を駆け抜ける。




だが、宴はまだ終わらん。
明石亭 朝霧駅ホーム店で「二次会」開店。
コンビニ仕入れの酒で再び乾杯。
粉もん巡りの旅が明石に刻まれた瞬間やな。




▼【店舗情報】
玉子焼・中華そば 泉屋
〒673-0034 兵庫県明石市林2丁目15−15
▼【店舗情報】
お好み焼き のぶちゃん
〒674-0092 兵庫県明石市二見町東二見1736
コメント