会長から、またしても一通の計画が舞い込んできた。目的地は大分県中津市、かつて日本有数の景勝地・耶馬渓を走っていた耶馬渓鉄道の廃線跡。名門大洋フェリーで九州へ渡り、ミニベロで約70kmを走破。その日の夜には再び船に乗り、大阪へ帰還するという、相変わらず時間も体力もギリギリの弾丸計画である。相談役は日程が合わず、今回は不参加。会長と若頭の二人で、いざ九州へ殴り込みや。
名門大洋フェリーで九州へ!一泊二日の弾丸作戦が始動
今回の作戦を立案したのは会長。狙うは大分県中津市から山国町の守実温泉まで続く、旧耶馬渓鉄道の廃線跡を利用した「メイプル耶馬サイクリングロード」である。かつて青の洞門や羅漢寺など、耶馬渓の名所を結んでいた鉄道路線。その跡地をミニベロで巡ろうという、歴史と自然を一度に味わえる贅沢な企画だ。
計画はこうだ。大阪南港を夕方に出港する名門大洋フェリーに乗り込み、船内で一泊。翌朝、新門司港に到着したらJR小倉駅へ移動し、JR日豊本線の特急ソニックで中津駅まで輪行する。そこからメイプル耶馬サイクリングロードに入り、終点の守実温泉駅跡を目指して走る。折り返して中津駅へ戻り、再び輪行で新門司港へ。夜のフェリーに乗って大阪へ帰るという、なかなかに無茶な行程である。
相談役は残念ながら日程が合わず、今回は欠席。おそらくこの計画を聞いたところで「ちょっと待て、走る時間はどこにあるんや」とツッコミを入れていたに違いない。だが、会長と若頭は止まらない。行きたい場所があるなら、時間は組み立てるもの。ミニベロを輪行袋に収め、船と電車を乗り継ぎ、九州の山河を走り抜ける。これぞ大人の休日、いや、我らが愛好会流の強行軍である。

ファーストAを一人占め!船上の宴で英気を養う
今回の旅で見逃せないのが、名門大洋フェリーの客室キャンペーンだ。ちょうど「ファーストAシングルユースキャンペーン」が実施されており、通常は2~3名定員のファーストA客室を、1名でも追加の貸切料金なしで利用できるという。対象期間は2026年12月17日出航便まで。船旅を計画している人は、公式サイトで対象便や料金、予約条件を確認しておくとええで。詳しくは名門大洋フェリーの客室キャンペーンをチェックや。




出港のおよそ1時間前、会長と若頭は大阪南港のフェリーターミナルから乗船。自転車旅のスタートにふさわしい船旅に、二人のテンションも上がる。まずは荷物を整えたら、船内レストランへ。目の前に並ぶバイキング料理を肴に、さっそく宴の開幕である。走る前から飲んで大丈夫なのかという声も聞こえてきそうだが、そこは船旅の醍醐味。明日の脚力を残しつつ、ほどほどに楽しむのが大人の流儀だ。


窓の外には、夕日を浴びて輝く大阪湾。陸から眺める夕景もええが、ゆっくりと進む船の上から見る景色はまた格別である。やがて船は明石海峡大橋へ。巨大な橋の下をくぐり抜ける瞬間は、何度見ても胸が躍る。食事と景色を堪能したあとは、風呂で汗を流し、翌日の長丁場に備えて就寝。翌朝は朝食を済ませ、いよいよ新門司港へ到着する。九州上陸前から、すでに旅の満足度は高め。だが、今回の本番はここからや。

特急ソニックで中津へ!廃線跡ポタリングの幕開け
朝、新門司港に到着した会長と若頭。ここからは小倉駅へ移動し、JR日豊本線の特急ソニックに乗って大分県中津市へ向かう。輪行旅では、フェリーから電車への乗り換えも重要な作戦の一部。自転車を組み立てる場所や移動時間を計算しながら、次の交通手段へつなぐ。ここでモタつけば、後半のスケジュールに響く。時間との勝負は、すでに始まっているのである。




中津駅に到着したら、ミニベロを組み立てて、いざ出陣。目指すのは「メイプル耶馬サイクリングロード」だ。この自転車道は、1913年に開業し、1975年に全線廃止となった耶馬渓鉄道の跡地を活用して整備されたもの。中津市街地から山国町守実まで、かつて列車が走ったルートを自転車でたどることができる。鉄道跡ならではの緩やかな勾配や、トンネル、鉄橋などの構造物も楽しみのひとつだ。


今回の目的地は、かつての終点・守実温泉駅跡。往復約70kmという行程を考えると、沿線の名所すべてに立ち寄る余裕はないかもしれない。それでも、目の前に現れる景色を味わいながら進むのがポタリングの流儀。速さを競うロードレースではない。だが、帰りのフェリーという絶対に遅れられない時刻がある。のんびり走りたい気持ちと、時計を気にする現実。そのせめぎ合いこそ、今回の旅のスリルである。


青の洞門に第二山国川橋!耶馬渓の絶景を駆け抜ける
走り始めると、目の前に広がるのは耶馬渓ならではの雄大な自然。山国川の流れ、山々の岩肌、緑に包まれた道。街なかを走るポタリングとはひと味違う、自然の中を進む爽快感がある。自転車道は旧鉄道路線を活用しているため、ところどころに鉄道時代の面影が残り、ただ走るだけでは終わらない。歴史好きにも自転車好きにもたまらないコースだ。
見どころのひとつが、断崖に掘られたトンネルで知られる青の洞門。菊池寛の小説『恩讐の彼方に』でも知られる名所で、耶馬渓観光では外せない場所である。周辺には羅漢寺などの名所もあり、かつての耶馬渓鉄道が観光客を運んでいた時代に思いを馳せることができる。さらに、コース沿いにはオランダ橋や第二山国川鉄橋など、写真に収めたくなるポイントも点在する。ペダルを回しているだけで、次々と景色が変わっていくのが面白い。








ただし、今回は弾丸旅。立ち寄るたびに「ええ景色やなあ」と足を止めていては、予定が押してしまう。会長と若頭は景色を楽しみつつ、時間も確認しながら前へ進む。絶景を見れば写真を撮りたい。歴史ある場所に来れば、じっくり眺めたい。だが、帰りのフェリーに乗り遅れるわけにはいかない。自然を味わう心と、旅程を守る冷静さ。その両方が試される場面である。


守実温泉駅跡で折り返し!帰りのフェリーに間に合うのか
景色を楽しみながらペダルを回し、いよいよ目指す守実温泉駅跡へ。ここは、かつて耶馬渓鉄道が走っていた路線の終点にあたる場所だ。現在は鉄道がなくなっても、サイクリングロードとしてその道筋が受け継がれている。列車が走っていた時代を想像しながら、終点の駅跡にたどり着く。単に距離を走っただけでは得られない、歴史をたどる旅ならではの感慨がある。
本来なら、守実温泉周辺でゆっくり休憩したいところ。しかし、今回の作戦には大きな制約がある。夜には新門司港から大阪へ戻るフェリーが出港するのだ。ここでのんびりしすぎれば、帰りの輪行や港までの移動に影響が出る。会長と若頭は到着の余韻を味わいつつ、折り返して中津駅を目指す。往路で見た景色も、帰路ではまた違って見える。時間に追われながらも、同じ道を反対側から走ることで新しい発見があるのも自転車旅の面白さだ。
中津駅に戻ったら、ミニベロを輪行袋に収納し、再びJR日豊本線で小倉駅へ。そこから新門司港へ移動し、19時50分出港の名門大洋フェリーに乗り込む予定である。約70kmを走り切った脚には、じわじわと疲労がたまっているはず。それでも、船に乗ってしまえばひと安心。自転車を無事に運び、帰りの便に間に合わせるところまでが今回のミッションだ。目的地に到達するだけでは終わらない。最後まで計画どおりに運んでこそ、兵庫県サイクル&ドリンク愛好会の面目が立つというものである。


船上で旅を振り返り、翌朝は大阪南港から西宮へ自走
夜の新門司港から名門大洋フェリーに乗り込めば、今回の九州ポタリングもいよいよ終盤。帰りの船内では、バイキング料理を楽しみながら本日の旅を振り返る。青の洞門、山国川の流れ、旧耶馬渓鉄道の面影、そして守実温泉駅跡までの道のり。写真を見返せば、走っている最中には気づかなかった景色もよみがえる。疲れた脚を休めながら、食事を楽しむこの時間もまた、旅の大きなご褒美である。
船旅のありがたさは、移動そのものが休息になるところだ。自転車で走り、電車で輪行し、最後はフェリーで帰る。交通手段を組み合わせれば、遠方のサイクリングコースも一泊二日で楽しめる。もちろん、今回のような弾丸計画は、フェリーや列車の時刻、輪行に必要な時間、現地での走行距離を事前に確認しておくことが大前提。天候や交通状況によって予定が変わる可能性もあるため、余裕を持った計画が大切だ。
そして翌朝8時30分、大阪南港に到着。普通ならここで解散して、家に帰ってゆっくり休むところだろう。ところが、会長と若頭はまだ走り足りないらしい。なんと大阪南港から西宮の角打ち「ますや」まで、ミニベロで自走するという。九州で約70km走った翌朝に、さらに走る。もはや体力が有り余っているのか、疲労を感じる機能が壊れているのか、判断が難しいところである。
ようやく「ますや」に到着したら、待ちに待ったビールで乾杯。無事に帰ってきたことを祝い、今回の耶馬渓ポタリングはここで店じまいとなった。船で渡り、廃線跡を走り、電車で戻り、最後は西宮まで自走。会長と若頭の休日は、最後の一杯まで全力なのであった。

まとめ:廃線跡を走り、船で帰り、ますやで締める
今回の旅は、名門大洋フェリーとJR日豊本線を組み合わせ、大分県中津市からメイプル耶馬サイクリングロードを走る弾丸ポタリング。耶馬渓の自然や青の洞門、旧鉄道の面影を楽しみながら、約70kmの道のりに挑んだ。遠方のサイクリングも、フェリーと輪行を活用すれば、限られた休日の中で十分に楽しめる。ただし、帰りの便に間に合わせるための時刻管理は必須である。
そして旅の締めは、西宮の「ますや」でビール。ここまで来て、まだ自走する二人の体力には恐れ入る。相談役が参加していたら、果たして最後まで付き合えたのか。それは次回のお楽しみということにしておこう。会長、若頭、お疲れさん! 次なる殴り込み先は、どこになるのか。愛好会の旅は、まだまだ終わらない。

メイプル耶馬サイクリングロード
〒871-0713 大分県中津市山国町守実89



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