新神戸から尾道へ新幹線で輪行し、翌朝はしまなみ海道を一気に駆け抜ける。しかもゴールの今治から高松へ輪行し、深夜1時発のジャンボフェリーで神戸へ帰還するという、なかなか無茶な今回の作戦。途中で一度でも大きく予定を崩せば、すべての歯車が狂う。
会長と若頭、二人の鉄脚はこの強行軍を無事に完遂できるのか。瀬戸内海の絶景を楽しむ余裕はあるのか。それとも時間に追われ、ひたすらペダルを踏み続けることになるのか。
今回は、そんな「時間との勝負」になった、尾道発しまなみ海道輪行旅の記録である。
尾道上陸、まずは前夜の明石亭で決起集会


朝、会長と若頭はミニベロを輪行袋へ収め、新神戸駅へ向かった。
今回の作戦は、鉄道と自転車を組み合わせた輪行旅。新神戸駅から新幹線で福山駅へ向かい、そこからJR山陽本線へ乗り換えて尾道駅を目指す。
新幹線に乗り込んだ瞬間、まず始まったのが恒例の「車内宴」である。
旅の始まりに弁当を開く、この背徳感がたまらない。駅弁をつまみ、ドリンクを流し込んでいるうちに時間はあっという間に過ぎていく。
若頭「やっぱり新幹線で食う弁当は格別ですな。」
そんなことを言うてる間に、約1時間半で福山駅へ到着。






ここから山陽本線へ乗り換え、尾道駅を目指す。車窓から尾道市街の看板や街並みが見えてくると、二人のテンションも一気に上がってくる。



「いよいよ本番やな。」
尾道駅へ到着後は、本日の宿であるホテル港屋までミニベロを押し歩きながら移動。無事にチェックインを済ませる。
明日の早朝から長距離を走るのだから、今日は早めに休む……。
普通ならそうなるところだが、そこは兵庫県サイクル&ドリンク愛好会。
じっとしているはずがない。
尾道市内へ繰り出し、レトロな街並みを巡りながら尾道の歴史に触れる。途中、吉源酒造場で尾道の歴史を聞いた。お土産に「寿齢おのみち」を購入。明日しまなみ街道を走るので300mlを1本にとどめた。
坂の街、映画の街、そして尾道水道を抱く港町。独特の空気を感じながら街を歩いていると、明日の強行軍のことも一瞬忘れてしまう。
そして夜になれば、当然のように明石亭「尾道水道店」を開店。








夜風に吹かれながら眺める尾道水道。
港を行き交う船を眺めながらの一杯は、やはり格別だった。



「明日のことは明日考えたらええ。」
そう言いながら、前夜祭は静かに終了。
果たして翌朝、本当に予定通り起きられるのか。
尾道から渡船で向島へ。ここからが本当のシノギの始まり








翌朝、ホテル港屋を出発。
前日の宴から一夜明け、いよいよ今回の本番が始まる。今回、会長のバッグは、ROCKBROSの自転車用パニエバッグ。 防水仕様で最大容量は30Lで、今回の旅にはちょうどいい大きさ。
尾道駅周辺から渡船に乗り、ミニベロとともに向島へ渡る。尾道水道をわずかな時間で横断すると、景色は一気に「しまなみ海道モード」へ変わる。
ここから今治方面へ向けて、因島、生口島、大三島、伯方島、大島を経由し、最後に来島海峡大橋を渡る。
一般的なしまなみ海道サイクリングなら、島ごとのグルメや観光スポットを楽しみながら、のんびり走るところだ。
しかし、今回の二人には深夜1時発のジャンボフェリーという「絶対に落とせない最終便」がある。
つまり、寄り道には制限時間がある。
最初の大型案件は因島大橋。
橋へ向かう坂道を登り、橋上へ出ると瀬戸内海が一気に視界へ飛び込んでくる。
橋を渡れば因島だ。
いつもなら「怪獣サイダー」や「はっさく大福」に手を伸ばしたくなるところ。
しかし今回は違う。
「今日はスルーや。」
会長の判断は早い。
生口橋を渡り、生口島へ入っても同じだ。
しおまち商店街の「岡哲商店」で名物コロッケを食べたい気持ちはある。






だが、1個200円の誘惑に負けている場合ではない。



「次回に回すで」
そう言い残し、二人はペダルを踏み続ける。
今回の目的は食べ歩きではない。
今治へ時間内にたどり着くこと。
それが今日の最優先案件なのだ。
多々羅大橋、県境を踏破。サイクリストの聖地で愛車を記録する


生口島を抜け、いよいよ多々羅大橋へ向かう。
ここまで来ると、しまなみ海道の絶景も本格的になってくる。
橋の入口へ続く坂を気合いで登り、そのまま多々羅大橋へ突入。
巨大な斜張橋の上から眺める瀬戸内海は圧巻だ。
しかも、この橋の上には広島県と愛媛県の県境がある。
しまなみ海道サイクリングでは定番の記念撮影スポットで、県境付近に自転車を止めて写真を撮るのが王道だ。
もちろん会長と若頭もここで一旦停車。


しかし、この日は夏の暑さが容赦ない。
絶景だからといって、のんびりしている時間はない。
少し景色を楽しんだところで、すぐに再出発する。
多々羅大橋を渡り終えると、いよいよ愛媛県側の大三島へ上陸。
ここで向かったのが「道の駅 多々羅しまなみ公園」。
施設内には「サイクリストの聖地 記念碑」があり、多々羅大橋を背景に愛車を撮影できる人気スポットだ。
会長と若頭も、愛車2台を並べて記念撮影。







「何回来ても、ここはええな。」
同じ場所でも、走ってたどり着いたときの感覚は毎回違う。
瀬戸内海を背景にミニベロを並べれば、それだけで今回の巡航記録にふさわしい一枚になる。
ただし、今回は写真を撮ったら終わりではない。
まだ先が長い。
伯方の塩ソフトで緊急補給。食べたら即出発の鉄脚巡航


サイクリストの聖地を後にした二人は、さらに東へ進む。
次に現れるのが、大三島と伯方島を結ぶ大三島大橋。
橋を渡り、伯方島へ上陸する。
ここまで来れば、ゴールの今治も少しずつ現実味を帯びてくる。しかし、暑さによる体力消耗は確実に進んでいる。
そこで立ち寄ったのが「道の駅 伯方S・Cパーク マリンオアシスはかた」。




ここで昼食を取り、さらに名物の「伯方の塩ソフト」を投入。
ほんのり塩気のあるソフトクリームが、暑さで疲れた身体へ沁みていく。



「これは効くな。」
甘さの中に感じる程よい塩味が実にうまい。
とはいえ、今回の二人に長居という選択肢はない。
食べ終われば即出発。
次のターゲットは大島である。
伯方・大島大橋を渡れば、いよいよしまなみ海道後半戦。


ここから待ち構えるのが、今回最大の難所とされる宮窪峠だ。
島の中央部を走る国道317号を進み、数km続く坂を登らなければならない。
ロードバイクなら軽快に突破する猛者もいるだろう。
しかし、ミニベロやクロスバイクにとっては、なかなか手強い相手である。





「相談役がおったら、ここで店じまいやな。」
そんな冗談を交わしながらも、会長と若頭は淡々と登っていく。
坂道を前にしても脚を止めない。
まさに鉄脚。
この二人、どうやら「坂道」という言葉を辞書から消してきたようだ。
来島海峡大橋を突破。サンライズ糸山へ予定より3時間早く到着




宮窪峠を突破すると、残る大物は最後の橋、来島海峡大橋である。
ここまで来れば愛媛県今治市はもう目前。
長い橋を渡りながら瀬戸内海を眺めると、ここまで走ってきた島々が遠くに見える。
尾道を出発してから、因島、生口島、大三島、伯方島、大島と走り抜けてきた。
いよいよ最後の橋を渡り終え、愛媛県へ上陸する。
目指すは今治市の「サンライズ糸山」。
当初の予定では18時45分ごろの到着を見込んでいた。
深夜1時発の高松行きジャンボフェリーに間に合わせるためには、ここからさらに鉄道輪行をこなさなければならない。
少しでも遅れれば、その後の計画が全部崩れる。
まさに時間との勝負だった。
しかし、ここで会長&若頭の鉄脚が炸裂する。
サンライズ糸山に到着したのは16時ごろ。
予定より3時間弱も早い。





「……早すぎるやろ。」
誰もがそう思うほどの快走だった。
しまなみ海道を走り切った直後とは思えないほど、二人の表情には余裕がある。
ここまで来れば、今回最大のシノギはほぼ完了。
あとは高松へ向かい、深夜のフェリーに乗り込むだけだ。
今治から高松へ普通列車輪行。鯛めし弁当でようやく一息


サンライズ糸山に到着した時点で、最大の山場は越えた。
しかし、まだ神戸へ帰るまでが今回のシノギである。
当初は今治から高松まで特急列車を利用して輪行する予定だったが、予定より早く到着したことで時間に余裕ができた。
そこで今回は普通列車を利用して高松方面へ向かうことにした。
ミニベロを輪行袋へ収め、駅へ向かう。
しまなみ海道を走り切った直後だけに、列車へ乗り込んだ瞬間の安心感は格別だ。



「もうペダル踏まんでええんやな。」
そんな気持ちが少しだけ湧いてくる。
そして、もう一つのお楽しみが夕食。
駅で手に入れた鯛めし弁当とドリンクを広げ、車内で疲れを癒す。





「今日はよう走ったな。」
弁当をつまみながら、二人で今日一日の行程を振り返る。
朝から尾道を出発し、橋を何本も渡り、坂を登り、愛媛県まで走り抜けた。
自転車旅でこれだけの距離を走った後に食べる弁当は、やはり格別だ。
しかも、この後には高松港から神戸へ向かう夜行フェリーが待っている。
列車の車窓を眺めながら、少しずつ身体を休める。
今回の旅は、走るだけではない。
鉄道とフェリーをつないで神戸へ帰る、壮大な輪行旅なのだ。
高松港・深夜1時、最後の明石亭。そしてジャンボフェリーで神戸へ帰還




高松駅から高松港へ移動し、いよいよ最終局面。
神戸行きジャンボフェリーの高松発深夜1時便に乗船する。
ここまで来れば、さすがの会長と若頭も少し疲れが出ている。
しかし、最後の仕事が残っている。
そう、明石亭である。



「高松港店、開店や。」
ここまで来れば、もはや恒例行事。
ドリンクを片手に、瀬戸内海を渡る最後の宴を始める。
やがて乗船時間となり、ミニベロを抱えて船内へ。
空いていたこともあり、自転車は自由席エリアへ置かせてもらうことができた。
これでようやく肩の荷が下りる。
さらに夜食として「島ごまうどん」をいただき、最後の補給も完了。


あとは寝るだけだ。
ごろ寝エリアへ移動し、身体を横たえる。
朝までぐっすり……と言いたいところだが、旅の興奮が残っているのか、なかなか眠れない。
それでも瀬戸内海を進む船の揺れに身を任せているうちに、いつしか眠りへ落ちていく。
そして明け方5時ごろ。
ジャンボフェリーは神戸へ到着。
尾道から始まった長い旅は、神戸港でようやく店じまいとなった。
締め
尾道から今治までのしまなみ海道を走り、さらに鉄道輪行で高松へ抜け、深夜のジャンボフェリーで神戸へ帰還。
今回の旅は、まさに会長&若頭だから成立した強行軍だった。
景色を楽しみながらゆっくり走るのが、しまなみ海道の本来の魅力。
しかし、今回のように「時間」という縛りを背負って、一気に駆け抜けるのもまた一つの楽しみ方なのかもしれない。
ただし、相談役をこの作戦に連れて行けば話は別や。
途中でへばった瞬間、深夜1時のフェリーが逃げていく。



「相談役と行く時は、今治で一泊やな。」
どうやら、それが一番筋の通ったプランになりそうである。
<株式会社 吉源酒造場>
<ホテル港屋>









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