朝から容赦なく照りつける真夏の太陽。「今日は暑すぎるから家で大人しくしとくか。」そんな選択肢は兵庫県サイクル&ドリンク愛好会には存在しない。むしろ、この暑さこそ絶好の”サイクル&ドリンク日和”。一本の連絡で会長と若頭は神戸ハーバーランドへ集結し、急遽「お好み焼きポタリング」の開幕が決定する。胃袋に筋を通し、潮風を浴び、最後は明石亭で喉を潤す。それが今日のシノギだ。
神戸ハーバーランド集合、灼熱の須磨海岸へ殴り込み

午前中とは思えないほど強烈な日差しが神戸港を照らす。神戸ハーバーランドで落ち合った会長と若頭は、お互いの顔を見るなり笑う。
会長「今日は暑さとの勝負やな。」



「いや、今日は胃袋との勝負でしょう。」
そんな軽口を交わしながら、ミニベロを走らせて須磨海岸方面へ向かう。海沿いを走るこのルートは、兵庫県サイクル&ドリンク愛好会にとって幾度となく風を切ってきた定番コース。それでも季節が変われば景色も空気も違う顔を見せてくれる。
照り返しは強烈だが、時折吹き抜ける海風が火照った身体を冷ましてくれる。その風を受けながら巡航していると、「暑い」の一言さえ心地よく思えてくるから不思議だ。
そんな中、若頭が以前から目を付けていた一軒のお好み焼き店が視界に入る。



「会長、今日のシノギ先はここです。」
その店の名はお好み焼き 川崎。




店構えは決して派手ではない。しかし、店先に貼られたメニューを見た瞬間、二人は同じことを感じた。
「……ここ、当たりや。」
長年いろいろな店を巡回してきた勘が、静かにそう告げていた。
お好み焼き「川崎」で胃袋に筋通し。昔ながらの豚モダンが沁みる


暖簾をくぐると、昔ながらの空気が流れる店内。鉄板から漂うソースの香りだけで、胃袋は完全に臨戦態勢へ入る。



「今日はこれしかないやろ。」
二人が注文したのは豚モダン。
しばらくして運ばれてきた一枚は、奇をてらわない昔ながらの姿。そのオーソドックスな見た目が逆に安心感を与えてくれる。
ヘラを入れると、ふんわり焼き上げられた生地の中から甘みのあるキャベツが顔を出す。ソースの香ばしさ、もちっとした中華そば、豚肉の旨味が一体となり、一口ごとに満足感が広がっていく。



「これや…。これが食べたかったんや」
若頭が思わず笑みを浮かべる。
本当ならここで冷えたビールを流し込みたいところ。しかし、今日はまだ巡航が残っている。



「開店はまだや」
会長の一言で我慢を決め込む。
お店で焼きたてのお好み焼きを味わう時間は、コンビニ飯やテイクアウトでは得られない贅沢。改めて、こうした町のお好み焼き屋が持つ温かさを感じる一軒だった。
須磨海岸から明石海峡大橋へ。明石亭「明石海峡大橋下店」本日も開店


胃袋への筋通しを終えた二人は、再びミニベロへまたがり須磨海岸を西へ進む。夏休みシーズンになると、海岸は多くの人で賑わう。
いつもの海沿いルートを流しながら、目的地は明石海峡大橋。
途中でスーパーマルハチ舞子店へ立ち寄り、本日の営業に必要なドリンクとあてを仕入れる。



「仕入れ完了。これで店は開けられる。」
会長の合図とともに、明石亭「明石海峡大橋下店」へ到着。
……しかし、この日の太陽は容赦がなかった。
橋の下とはいえ、いつもの定位置には日差しが差し込み続けている。



「今日は離れにするぞ。」
急遽、少し奥の日陰へ移動。
これが大正解だった。
明石海峡から吹き抜ける風が心地よく、汗ばんだ身体を一気に冷ましてくれる。
その風を浴びながら飲む一本は格別。



「この一杯のために走っとるようなもんや。」
若頭がそう笑えば、会長も無言でうなずく。
この瞬間のためなら炎天下40kmも決して苦にならない。それが兵庫県サイクル&ドリンク愛好会の風切り家業なのである。




最後の伏兵は光明軒。禁断のラーメンで本日のシノギ完結


明石亭「明石海峡大橋下店」を無事に店じまいし、JR舞子駅から輪行開始。
「今日はええ仕事やったな。」
そんな満足感に包まれながら電車へ揺られる。
……ところが、事務所最寄り駅へ降り立った瞬間、若頭の頭に同じ言葉が浮かぶ。
「ラーメン食べたい。」
こればかりは理屈ではない。
自転車で走り、汗を流した身体が塩分を求めている。
向かった先はJR西宮駅近くの光明軒。
注文した一杯は、どこか懐かしい昔ながらの中華そば。
スープを一口飲んだ瞬間、今日一日の疲れがゆっくり溶けていく。



「アカン…。止まらん。」
気付けばレンゲは何度も往復し、最後にはスープまで完飲。
「今日は許してくれ。」
そう言いながら店をあとにする。
走った距離も、食べた量も、飲んだドリンクもすべて今日という一日の思い出になる。
計画どおりに終わる旅もいい。
しかし、最後に予定外のラーメンまで加わってこそ、兵庫県サイクル&ドリンク愛好会らしい巡航なのである。
締め
須磨海岸から明石海峡大橋へ続く海沿いルートは、景色の良さだけでなく、途中に立ち寄れる名店や休憩スポットも多く、ミニベロポタリングには最高のコースだ。昔ながらのお好み焼きで胃袋に筋を通し、潮風を浴びながら明石亭を開店し、最後はラーメンで締める。予定どおりに終わらないからこそ旅は面白い。次はどこの街へ殴り込みをかけるのか――その答えは、また一本のLINEから始まる。
お好み焼川崎
〒654-0042 兵庫県神戸市須磨区小寺町4丁目1−3











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